瑠璃色の姫君
ごめん、カーラ。
2人きりにしてあげたいんだけど、それは出来そうにないよ。
だって王子だからアドルフは僕を1人にはしないと思うんだ。
しかもここ闇市だし。
僕のシュトラントの王族限定の金春色の髪色見られたら、無条件で売り飛ばされそうだし。
だから本当にすまない。
僕を今だけ空気だと思って良いから、僕もここに居させてね。
なんて考えていれば、遠くで聞き覚えのある声を耳にした気がした。
「……ルディ?」
「王子、どうなさいました?」
「今、ルディの声が」
もう一度耳を澄ませば、確かにルディの声が聞き取れた。
だけど、その声は遠すぎてどこからしているのかわからない。
ならば。
「一か八かやってみっか」
僕は中指と親指をくっつけ合わせ、それを舌の裏につけ口を閉じた。
よくガレットがこれをしてルディを呼んでいるのを、見ていたことを思い出したのだ。
「バベル王子、何をっ」
ピーーーーッ
この闇市で目立つことを恐れたアドルフが僕を止めにかかったが、僕は御構い無しに口笛を吹いた。