瑠璃色の姫君
その音は、闇市の中で響いて近くにいた人々はその音に耳を覆ったほどだった。
ーーバサッ
しばらくして聞き慣れた羽の音が聞こえてきて、僕は口角を上げた。
「ルディ!」
近付いてきたルディは、ナチュラルに僕の肩に乗っかった。
「元気にしていたか」
フリュイがしていたように喉をゴロゴロと撫でてやろうと手を近付ければ、細く黄色い足で手の甲を踏まれた。
それはフリュイにしか許可してないらしい。
悔しいが、それなら仕方あるまい。
いつか許してもらえるようになればいいが、まあ今はそんなことどうだっていい。
それよりも。
「フリュイの場所を教えてくれ」
ルディの瞳を覗き込んでそう頼めば、ルディはたちまち飛翔して、僕の肩から離れた。
僕はルディの飛ぶ方へ付いて行こうと走り出した。
のだが。
「あら綺麗ね、貴方。コレクションに加えたいわ」
あっけなくすぐ側にいた化粧の濃い女に捕まって身動きが取れなくなった。
あーほら、僕の馬鹿!
ツメが甘いんだってば!
しばらくジタバタと暴れてその女と戦い、やっとのことでその女の腕を払った。
「ルディ!」
「こっちです!」
僕がモタモタしている間に、アドルフとカーラがルディの後を追ってくれていたみたいで、アドルフが手を挙げてくれた。
僕はその手の方に向かって人混みを無茶苦茶にかき分けて走った。