瑠璃色の姫君
これこそ破壊力と言わずして何と言う。
レティシアは一発で僕を破壊する。
いつもそうだ。
いつもどんな時も僕の頭の片隅にいて、それでいて色濃く存在している。
たまに全面に出てきては、僕を一瞬で虜にする。
そんなやつだ。
今だって表にだだん!と出てきたレティシアが、僕の頭を埋め尽くした途端に。
すごく幸せな気分になって。
頭の中は花畑みたいになって。
「おーい。バベルさーん、大丈夫?」
「何が? 僕、超元気だけど!」
「あ、うん。ニヤニヤしててちょっとあれだっただけだから元気なのは見るだけで分かる」
「そう!?」
「うん。テンションうざいくらい高いね」
「あーごめんね?」
「ううん。バベルが嬉しそうだとフリュイも嬉しいからいいよ」
ん? あれれ。
てっきりフリュイのことだから「うっわ!今のヤダ最悪!」とか小言をわざとらしく大声で言うんだろうなと思っていたのに。
ニコニコと嬉しそうにしているフリュイが僕の目の前にいる。
その笑顔は嘘っぽさがなくて、僕は目をぱちぱちと瞬かせた。