瑠璃色の姫君
そのチョコレートを受け取って、口の中にフリュイと同じように放り込む。
それを見て、フリュイは目を細めた。
「旅が終わる時になったら、目的を教えてあげてもいいよ」
さらっとそう言って、フリュイはもう一粒チョコレートを食べた。
「それは酷だな、フリュイ」
口の中のチョコレートは溶けていく。
ピーナッツは入ってなかった。
「なんで酷?」
「フリュイとの旅が終わるのは寂しくて嫌だけど、目的が何なのか聞きたいから旅を終わらせたくもあって」
微笑んだつもりだったけれど、たぶん眉毛が下がっていて情けない顔になった。
「フリュイも」
3個目のチョコレートを手にしたまま、うつむいたフリュイは、絞り出すように声を出す。
その声は、フリュイの感情が見えてくるようだ。
「フリュイも旅が終わるのは嫌だけど、終わらないと何も始まらないから」
始まらないって、どういうこと?
そう聞く暇を与えずに、フリュイはガバッと顔を上げて力強い声で言った。
「旅は、終わらせるよ」
僕はまた情けない微笑みで、フリュイに頷いた。