瑠璃色の姫君
「可愛いねフリュイ」
つい、フリュイの頭をふわりと撫でてそんなことを言ってしまった。
あ、と気付いたのはフリュイに変化があったからだ。
「べ、別に可愛くないもん」
むうっと唇を尖らせて、赤くなるフリュイ。
……それは可愛すぎじゃないか?
さすがツンデレってとこだよね。
「フリュイさん、抱きしめていいですか」
「言い方変えても同じ意味です。今はダメです、バベルさん」
「ハイすみません」
「わかったなら良し」
すらっと出てきた抱擁したいという願望を言葉にしたことがじわじわ恥ずかしく感じて、赤い顔のフリュイから僕はそっぽを向いた。
そんな僕を覗き込んできたのは、ロゼアとその忠実なる執事ジルで。
「わぁ、ジル見て! バベルが赤いわ!」
「ええ、赤うございますね」
僕らを見てきゃっきゃするロゼアと至ってクールなまま少し眼を細めるジル。
もう雰囲気台無し。
まあ相手は弟のような存在であるフリュイだ。
弟ってのもなんか違う気がするけれど。
雰囲気も何も別にないのだけれど。
「ロゼア、ニヤニヤするのやめてくれない?」
「い・や・よっ」
「色気振りまくのもやめてもらっていいですか、お姉さま」
「あら。それは自然に出ているからどうしようもないのよ」
ふふん、と自慢気に胸を張るロゼア。
わかったわかった、そんなに主張しなくていいってば。
そんなロゼアには、白々しいとでも言うように彼女を見て明らかに引いているフリュイを見てほしい。
それに僕、大人女子は専門外なので他を当たってもらえますか。