瑠璃色の姫君
照れ隠しでプイッと顔を逸らすフリュイ。
その様子に僕は小さく笑った。
君には毎回よく助けられるね。
旅の終わりに君とすんなり離れられる気がしないよ。
「バベル、美少年くん、こっちでお茶会しましょう!」
馬車のすぐ横に、上品な布がかけられた小さなテラステーブルの上のティーカップから湯気が立ち上がっているのがわかる。
ロゼアが手を僕らにぶんぶん振る。
「行こうか、フリュイ」
「うん。あ、わかってると思うけど」
続く言葉は多分。
“王女以外の女にデレデレしないこと”
「わかってる。ロゼアに恋愛感情はないから安心して」
「どうだか。あの人バベルのお嫁さん候補者なんでしょ」
「知っていたのか」
「まあね」
「でも彼女は僕の中でお姉さんって位置だから、あの人と恋なんてありえないよ」
本当に、ロゼアに恋愛感情を抱いたことはない。
というか、レティシア以外にそんなの抱いたことなんて一瞬さえもないのだ。
「じゃ、バベルさんのお手並み拝見と行きますか」
そんなこと言われちゃ、ゆっくりお茶が飲めないよ。
僕はまた小さく笑った。