瑠璃色の姫君
「いいでしょう、教えてあげます!」
せっかく和やかなお茶会でゆっくりお茶を飲むつもりだったのに、フリュイがカタンと席を立った。
「フリュイは、バベルの相棒であり!」
うん、確かにそうだ。
フリュイは僕にとっても、すごく頼りになるちょっぴり生意気な相棒である。
「親友であり!」
あ、本当に? 嬉しい、ありがとう。
いつからそうなったかわかんないけど、そう言ってもいいくらい仲良くなったよね。
「そして、フリュイはバベルの心のオアシスなのです!!!」
ブッ!
びっくりしたのと、面白すぎたのと、色々混ざって口に含んだダージリンを吹いてしまった。
「オアシス? そんな!バベルの心のオアシスは私、ロゼアのはずよっ!」
「いいえ。フリュイがオアシスです!」
………ハイ?
この現状を見ている人がいたとすれば、ノリが良すぎると言うだろう。
だけど、2人のあの目を見て欲しい。
残念ながら、至って本気である。
ちなみにオアシスというのは、疲れを癒し心に安らぎを与えてくれる場所、という意味である。
ということは、僕のオアシスは2人よりも彼女ということはわかってもらえるだろう!
「あのー、僕のオアシスはレティシアなんですが……」
小さく手を挙げて控えめにそう言えば、バチバチと火花を散らしいがみ合っていた2人の目がこちらに向く。