瑠璃色の姫君
「……はぁ、」
ため息を吐いたガレットは、両手を広げて肩をすくめた。
「シュトラントのためには、ここでお前を止めるべきなんだろうな」
ガレットが今すぐ僕の計画を国に言ったとしたら、たぶんだけど報酬が支払われる。
僕がいなくなる前に捕まえられるのは、それだけ国にとっては大きい。
僕としては、ガレットは服屋でもあるが情報屋でもあり、情報を得ることに長けているから、味方にしておきたいのだが。
僕に付いてくれるか?
それとも。
……国につくか?
ガレットが口を開くのがスローモーションのように見える。
騒つく胸を、意識して落ち着かせる。
目をぐっと閉じてみる。
ガレットが息を吸うのが聞こえて、僕は目を開いた。
「そうだけど」
……けど?
「決めたことはやり遂げなくては気が済まないタチのお前には今更、何も通じねーよな」
!
僕は、目を見開いた。
空気がガラリと変わる。
ガレットは、完全に受け入れ態勢を整えてくれたようだ。
緊張していた頬が緩んだ。
「流石ガレット。よくわかってるな」
「当たり前だろ。どれだけ破天荒なお前のダチやってると思ってるんだよ」
「あー何年だろ。とりあえず、長年」
「まあな、長年だな」
拳をガレットに向ける。
「お前の剣の強さがあれば、案外大丈夫そうだしな」
「自信はないけどな。ありがとうガレット」
それに気付いたガレットは、やれやれ、と眉を下げながらもはにかんで、自分のそれをコツンと僕に合わせた。