瑠璃色の姫君
「何、そんなに慌てて」
「フリュイ。お前、僕と一緒にまだ旅をする気はあるか?」
「はぁ? なんで突然そんな話になってるの?」
「レティシアに会いに、僕と一緒に来ないか?」
興奮していて勢いに任せて本題に入り、フリュイの様子を窺う。
「………ヤダ」
しばらく待ってやっとフリュイが発したのは、それだけだった。
「え」
「……」
「なんで? だってお前レティシアのことすごい好きみたいじゃん」
「……」
「だったら会えるのラッキーみたいにならないわけ?」
「……」
黙りこくったフリュイに、僕は少し泣きそうになりながら尋ねた。
「何かレティシアに会えない理由があるのか?」
その質問は、フリュイから目を逸らされたことで答える気がないことがわかった。
もしくは、また答えられない。
秘密主義な彼のことだ。
それが増えても今更、別におかしくない。
「……フリュイ言ったじゃん」
やっとのことで口を開いたフリュイは、眉根を寄せて笑った。
「セイラお姉ちゃんのパンが食べたくなった、って」