瑠璃色の姫君
「僕はまた今度にするよ」
「そうか、レティシアを待たせちゃいけないもんな」
確かにそれもある。
隣でフリュイが少し不満げにしていたけれど、いつまでもモタモタしていられない。
レティシアに怒られちゃいそう。
遅いよ、って。
だからやっぱり。
「全て終わったらレヴに行くよ」
フリュイにそれでいい? と尋ねる。
「レティシアに会えたら、一度別れてもフリュイを探して見つけるから、また一緒にレヴに来ればいいよね」
むすっとするフリュイにそう言えば、フリュイが笑った。
「それいいね!」
その笑顔に、心が一気に温まる。
ああ言ったものの、正直一度別れてもフリュイを見つけられる自信はない。
でも、シュトラントのみんなに協力してもらえれば、見つかるかな。
いや、きっと見つかると思う。
そうだ。
旅は終わったとしても、フリュイとの関係まで終わるとは誰も言っていない。
“欲張ればいいんだよ”
オーナーの声がふと蘇る。
そっか、欲張る、か。
フリュイと一緒にレティシアに会いに行かなくても、欲張ることが出来る。
レティシアに会ったあとは、フリュイを探して見つけて、また顔を合わせられるように動けばいいんだ。
会いたい時に会えるようにフリュイの居場所を見つければいいんだ。
「じゃあその時は、レティシアも一緒に連れて来なよ」
オーナーの声に、僕は力強く頷く。
隣のフリュイを確認すれば、聞いていなかったらしく、ロゼアと会話していた。