瑠璃色の姫君
なんだよ、ちゃんと聞いてろよ。
そう思ったけれど、ロゼアとジルもどうやらカフェ・レヴによるみたいだから、2人とは暫しの別れとなる。
せっかくロゼアとフリュイが仲良くなれたのに、別れるのは残念だろう。
だからなのか、今のうちに会話に花を咲かせているようだった。
それならまあいいや、と思い直した。
それからすぐして、馬車はカフェ・レヴに着いた。
ジルが扉を開けて先に降り、ロゼアをエスコートする。
ロゼアは嬉しそうに差し出された手を取って馬車を降りて行った。
本当、ジルのこと好きなんだな。
よくよく考えれば、ロゼアは僕にそんな顔をしたことは一度もない。
いつもお姉さんだったり、保護者みたいな様子で僕と接していた。
もしかしたら、ロゼアはずっとずっと前からジルに恋していたのではなかろうか。
だから僕もロゼアに恋愛感情を抱かなかったし、親しみやすいお姉さんとしか思ってなかったのかもしれない。
「よっこらせっと」
大きな旅行鞄を手にオーナーも馬車を降りていく。
その様子をぼーっと見ていれば、オーナーが僕の手を引っ張った。
「わわっ」
引きずられるように馬車から降りる。
「オーナー、何……」
オーナーに文句をひとつ言ってやろうと顔を上げる。
そこには僕を取り囲む、僕より長く人生を歩んできている3人の姿。