瑠璃色の姫君
「ところで、そこのちんちくりんとはどういう関係?」
ガレットから指をさされたフリュイは、ガタンと椅子を倒す勢いで立ち上がった。
「ちんちくりんじゃない!」
その勢いに、ガレットは驚いたようで体を引く。
「フリュイです。身長は153センチですっ!」
えっへん、と腰に手を置くフリュイ。
153って小さい方だと思うけど、なんて言ってしまいそうになった口を僕は慌てて抑えた。
隣に座るガレットは、肩を小刻みに震わせた。
「……ふふ、えーと、すまない」
「なに笑ってるんです!?」
「可愛らしいな、と思ってな」
「馬鹿にしてるんですかっ」
「いや?」
「嘘だっ」
ぷんっと頬を膨らませて顔を背けたフリュイは確かに可愛らしい。
そんなフリュイに、ガレットは大きな体を曲げて我慢せずにくすくす笑う。
「ガレットさんが大きすぎなんですよ。身長は一体いくつなんです?」
「183」
「うわぁ、それならフリュイが小人に見えても仕方ないですね」
「小人とは言ってないけどな」
「あ、墓穴掘ったぁ」とうなだれたフリュイは、次に僕を見て「ガレットさん程じゃないけどバベルはどのくらいかなぁ」と呟いた。
ガレットさん程じゃない、の言葉にちょっとムッとした僕は、すぐさまフリュイに言い返した。
「僕は175センチだけど。ガレットよりは小さくても、世間でいうところの高い方に属すると思うよ、フリュイ」
「そうだね。見上げた時、ちょっと首が痛いもん」
コキコキと首を鳴らして左右に振ったフリュイに、「高くてごめんね?」と彼の頭をぽんぽんと撫でた。
「馬鹿にしてるでしょ。それムカつく」
僕を下から睨みつけるフリュイ。
残念だけど怖くないし、むしろ可愛らしいくて、また頭を撫でてやると。
「まあでも王子様なんだからルックスは大事だもんね。そのくらい無くちゃだよね」
機嫌を直してくれたフリュイは、撫でられてくすぐったいのだろうか、目を細めた。
「そうだな」
受け答えしながら、“王子様なんだから” に引っかかった。