瑠璃色の姫君
「ここにいるよ」
背後に、しゃがみ込んだフリュイを見つけた。
「もうやめろよ、焦ったー……」
「バベルおもしろーい」
くすくす笑うフリュイ。
笑い事じゃないよ、本当に焦ったんだよ。
別れを告げる前にどこかに行ってしまったのではないか、って。
そういう悪ふざけはやめてくれよ。
僕は、やれやれ、と眉を寄せる。
「あ、ねえ、王女がいるところって検討ついてるんだっけ?」
そんな僕に少しムッとした後、フリュイが振り返りガレットに大きく手を振って、スキップを始める。
「ああ」
「どうしてわかるの?」
「よく考えればそこしか、ありえなかったから」
「ふーん?」
フリュイは面白そうにしながら、手を組んで頭に乗せた。
何を考えているのやら。
「あ、フリュイ。ちょっと花屋寄っていってもいいか?」
「いいよー、フリュイも花屋行きたいと思ってたんだー」
「何か欲しいのか?」
「そりゃ花に決まってるじゃん」
「何の花? なんで? 誰に?」
「はい、質問攻めしなーい」
あーあ、そうやってはぐらかす。
本当に、こいつは秘密が多いな。