瑠璃色の姫君
どこにいるかは、もうわかっている。
導かれるように、花園の中を歩く。
目的地は、ベンチの近くだ。
あの時、初めて出会った時、僕は確か花園の中のあのベンチに行こうとしていたのだ。
また眠っているところを蹴ってしまわなければいいな。
そんなことするつもりないけれど。
なんて考えていたら、何かを踏んづけた感触を感じた。
「あ」
これ、デジャヴってやつじゃないか?
嘘だろう、誰か嘘だと言ってくれ。
恐る恐る、足元を見る。
「……へ?」
デジャヴだけど、デジャヴじゃなかった。
そこにいたのはなんと、くるくるした茶髪の睫毛の長い美少年。
フリュイだった。
「ちょっとバベルー痛いじゃんかー」
むくりと起き上がったフリュイは、僕に踏まれた手を痛そうに振って、唇を尖らせ眉根を寄せた。
いかにも不満そうだが、フリュイも悪いと僕は思うのだけれど。
何をしていたか知らないけれど、そんなところで這いつくばっていたお前も悪い。
フリュイ1人が悪いとは言わないけれど。
だって、この先のベンチに顔を向けていて下に気を配らず彼を踏んでしまった僕も僕だし。