瑠璃色の姫君




ふふ、と笑ってフリュイは背を曲げ、花園に咲いているルリマツリに顔を近づけた。



「ん、ヒントでした。はい以上!」



花の香りを目一杯嗅ぐフリュイ。



………は?


ヒントの内容が何もないのだけれど。



「今から3分だからねー、スタート!」



えっ、ええっ、待って。


ちゃんとしたヒントくれないのかよ!



あわあわとして、頭をフル回転させる。


その拍子に髪の毛を掻いたせいで、くしゃくしゃになる。


あーダメだ、一回止めよう。


慌てる頭を一度落ち着かせる。



そして、フリュイの言葉を思い返す。


何か重要なワードはないかな…。



“ヒントあげるよ” “ヒントでした”



「…………ヒントか!」



多用された言葉は、ヒントだ。


そういえば、カフェ・レヴでオーナーとロゼア、ジルと別れる時に“ヒント”をもらった。


“桜色” “ココア” “指輪”


あの時はなんのことなのか全くわからなかったけれど、3人は全て知っていたのかもしれない。


“さっきの3つのヒントは一部で、もっと沢山、旅の中で散らばっているはずだ”


“それをかき集めれば、必ず答えにたどり着く”


別れ際のオーナーの言葉が頭に響く。




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