瑠璃色の姫君
「せっかく綺麗な色の髪なのにそんなもの被ってちゃ勿体無いよ」
くるくるした茶髪を少しいじれば、君が器用にパチンと音を立てそれを取った。
瑠璃色の髪の毛が、ストンと肩のところまでふわりと落ちる。
「ちなみに、タンポポの花言葉は“真心の愛”っていうの知ってた?」
瞬間、ほんのり朱に染まる頬が可愛い。
さっき花屋で購入したタンポポで急いで作った花冠を、君の頭に乗っける。
その髪にタンポポの花は、よく映える。
「ねえ」
上げられた君の瞳は、閉じられたまま。
「もう、いい?」
そう問えば、君の桜色の瞳がゆっくりと開かれた。
「それは、降参の合図だよ?」
そうだった。
ふう、と一息ついた僕に「特別に今のは無かったことにしてあげる」と君が言う。
優しさを、口を尖らせることで隠して。
やっぱり、ツンデレなんだね。
「レティ」
ずっと呼びたかった名前を君の前で呼べて、こみ上げるものがあった。
「みーつけた」
君の桜色が、一層色づいて、輝く。
「………もうっ」
綺麗なキラキラした雫が溢れる。
「………遅いよ、バベル」
それが美しくて居ても立っても居られなくなって、僕は彼女を抱きしめた。
「お待たせ、レティシア」
今まで会えなかった分の寂しさを、埋めるように。
強く強く、ぎゅっと。
愛しの君をこの腕で。