瑠璃色の姫君




「ごめん、もう一回…」



懇願するようにそう問えば、彼女の瞳がゆらゆら揺らめいた。



「き、きききっ」


「き?」


「キスっ!」


「キスぅ!?」



頑張って言ったのであろうその単語。


驚いた僕は、それを繰り返し言ってしまい、彼女を驚かせてしまった。



「あ、ごめん。キスが何?」


「……わ、笑わない?」


「うん、笑わないよ」



上目遣いに見てくる可愛すぎる嫁に、色々我慢しながら、僕は頷いた。



「………バベルとキスしたかったから、口紅は後がいいって言ったの!」



顔を覆いながらのその言葉と言えば。


抜群の破壊力をお持ちで。



嬉しすぎて可愛すぎて、ニヤニヤ笑いながらバタバタ足を踏み鳴らして悶えてしまった。



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