瑠璃色の姫君




「あー! 笑わないって言ったじゃん!」


「だって可愛いんだもん……っ」


「可愛い可愛い言うな!」



唇を尖らせて、文句垂れるレティシア。


残念ながら、それも可愛いから。



「レティ、落ち着いて」



ブツブツ文句を言う唇を右手の人差し指と親指で摘む。


「んむーっ!」


「あ、ごめん。苦しい?」



手を離し、彼女に笑いかける。



「ねえフリュイ、あ、間違えた」


「ふふ」


「ごめん!」


「いいよ、呼び方なんてどっちでも」



微笑んだ彼女は、笑ってドレッサーの机にあったお菓子を手に取った。



「ねえ。これ、覚えてる?」


「うん、覚えてる」



それは、幼い頃と旅の中でカフェ・レヴで食べた砂糖菓子。


果汁をぎゅっと詰め込んだ、フランス風グミ。


2人の思い出の味であり、僕の大好物。



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