瑠璃色の姫君
「聞かせて、フリュイ」
ガレットは、フリュイを連れて僕に彼の目的が聞こえないように奥の部屋に入っていった。
1人残された僕は、やることがなくてボケーっと丸い窓を眺めていた。
空はいつの間にか真っ暗で、キラリと星が瞬くのがわかった。
そろそろ城の者が僕がいなくて困惑しているだろう。
いや、もう既に大騒ぎになっていてもおかしくはない。
そうなると、どのくらいの数の人間が “バベル王子探し” に駆り出されるのだろうか。
ありえないとは思うけれど、もしもすごく少数だったら旅をしやすいだろうな。
……だけど。
「それはそれで、寂しいなぁ」
サラッと溢れた言葉に、気付いた時は思わず自嘲してしまった。
「寂しい、か……」
レティシアも、オリーヴェン城を出た後こんな風に思ったりしたのかな。
誰かと一緒に行動してるのかな。
フラフラして危ない目に遭ったりしてないかな。
レティシアを思っていると、だんだんと瞼が重くなってきた。
お願いだから、僕に会う前に消えたりしないで。
好きだと伝えたいから。
君と結婚したいって、言いたいから。
頭の中で、ルリマツリの花園の中から、姿の見えないレティシアの声が響く。
『まーだだよー』
子供の時と変わらずかくれんぼが得意なのだろうか。
でも、負けていられない。
今回こそは、初白星を挙げたい。
待ってて、レティシア。
かくれんぼは始まったばかりで、まだまだこれからだ。