瑠璃色の姫君
そうなると、僕は止まらない人間であって。
「レティ、本当は何してたの?」
キョロキョロと目を動かしてから下を向いてしまった彼女の両手を握って、瞳を覗き込んだ。
「言いたくない」
「僕、レティのことはどんなことでも知っておきたいんだけど」
「………」
「ねえ、レティ」
顔を上げたレティが僕を睨みつけた。
僕は逸らすことなく、その強い瞳を見ていた。
「………もう」
拗ねたようにそう言う彼女の頬は、少し赤みを帯びている。
「わかった、話す」
「うん」
むすっと頬を膨らませる彼女は、僕の手をぎゅっと握り直した。
「あのね、」
「うん」
「驚かないでね、笑わないでね?」
「うん」
そう言えば、彼女は意を決したように口を開いた。
「花嫁修業してたのっ!!」
…………へえ。
「……えっ?」
「ほらーやっぱ驚くんじゃんーっ」
「え、や、ごめん、……もっかい言って?」
聞き間違いのように思えて、もう一度言ってくれと頼む。
彼女は頬を真っ赤っかにして叫んだ。
「バベルのお嫁さんになれるように、花嫁修業してたんですっ!」