瑠璃色の姫君
ねえ、それ、本当反則だと思う。
僕のお嫁さんになるため?
花嫁修業?
そんな照れて言われちゃ、たまらない。
表情筋、緩々。
多分、今の僕かなり気持ち悪いと思う。
それくらいデレデレだと思う。
「……レティ」
「うぅ……何」
僕から遠ざかろうとしているレティ。
だけど手が繋がれているから離れるのは限度がある。
恥ずかしそうに下を向きながら僕を見ている彼女は、上目遣いになっている。
もう何なの、可愛いんだけど。
「レティ、花嫁修業は本当にしてたの?」
「してたよ!」
「たまにさぼったりしたんじゃないの?」
「さ、さぼったりなんてしてないっ」
食い気味に主張してくるけど、絶対さぼったりしていたと思う。
「レティ、知ってた?」
「何を?」
「うちの王宮はね、奥さんが旦那さんを起こしてお仕事に向かうお手伝いをする決まりがあるんだよ」
「………へ?」
ほらね、決まり自体を知らないんだもん。
「この決まりはオリーヴェンにもあると思うんだけどなー」
「……確かにお母様、毎日お父様をお送りしてたかも」
「うん」
「………えぇ、うそぉ」
信じられないとでも言いたげなレティ。