瑠璃色の姫君
「おはようございます、バベル様」
「おはよう、クロエ。アドルフかカーラをお願い」
なんでいつもアドルフかカーラが出るのに、クロエが出たんだ。
まさか、なんてことないよね……?
「御二方なら先程お出かけになられましたよ」
「まじかよ!」
「はい」
クロエの言葉に驚きすぎて、現代っ子な言葉遣いになってしまった。
「アドルフから何か僕への伝言とかある?」
「あ、はい。本日のバベル様のご予定は何もございませんので、ごゆっくりお過ごしください、とのことです」
ごゆっくりお過ごしください、って。
えー……。
それはそれで今日一日何をしたらいいんだ、と思うじゃないか。
「ほら、まだ寝てていいって言ったでしょー」
電話を切った僕の背中にレティが抱きついてくる。
「うん、でもレティ。何勝手に休暇なんてあげちゃってんの」
「1日くらいいいじゃーん」
「いくないと僕は思います」
「むー………」
レティは唸って、僕の耳にふうっと息を吐いた。
「うひゃい!?」
「あ、今の反応かわいー」
えへへへ、と笑ってレティがもっと強く抱きついてくる。