瑠璃色の姫君
小さく口をつけて、ココアをすする。
「うっわ」
「どう、美味しい?」
「うっすい。あと、甘すぎー」
「あれまじか、ごめんごめん」
悪びれてもいないような声でへらへらとバベルが言う。
何、ココアで私の機嫌が直ると思ったの?
作ったこと数回しかない微妙なココアをで?
ザンネン、そんなに簡単な人間じゃないもんね。
……だけど頑張ってくれたことはわかる。
だから、歩み寄ってやらなくもないよ。
「珈琲」
「ん?」
ココアがまだ半分入っているカップで手を暖かめながら呟いた私に、バベルが反応した。
「珈琲、飲む」
「え、でもレティ飲めないよね?」
「い、いいの! 飲むの!」
「ふーん。わかった、じゃあ今から作るから待ってて」
るんるん、と楽しそうにバベルがソファから立ち上がる。
そろそろアドルフが帰ってきそうだなぁ、と思いながら味が薄くも愛の詰まっているココアを啜る。
えへへ、なんだかんだ言って作ってくれたのは嬉しい。
私ちょろいなぁ、と思いながらまた一口すすると、最後の方は粉が固まっていて美味しかった。