瑠璃色の姫君




ココアを少しだけ残して、ほうと息をつくと、バベルが私にカップを差し出した。



「はい、レティ。ダージリン」


「珈琲でしょ」




受け取って小さな声で「ありがとう」と呟いてみせる。


バベルは微笑んでから、私からココアのカップを取って残りのココアに口つけて、顔をしかめた。



「……ダージリンどう?」


「うん、微妙」




………あ、しまった。


じゃあなんで作らせたんだよ、と呆れるかな。


ちらりと横を向くとバベルは小さく笑いながら私のカップから出る湯気の行方を追っていた。



「ココアは?」


「ん?」


「ココア、どう?」


「うん、微妙」



味薄かったな、と言いながらバベルが私の手からティーカップを取って、私が口つけたところと同じところからダージリンをすする。



「うん、やっぱダージリンがいいや」



そう呟き、ダージリンを飲み干す。


その口元をガン見してしまって、なんだか恥ずかしくてたまらなくなる。


何してんの、私。



「で、なんで突然ダージリンが飲みたいって?」


「えっ、いや…」


「なに」




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