瑠璃色の姫君
ずいっと顔を寄せられて、渋々小声で話す。
「バベルの好きな飲み物の味、私も好きになりたいと思ったの」
「なんで?」
「な、なんでも! バベルの好きなものは私も好きになりたいの! それだけ!」
ぷくーっと熱の溜まる頬を膨らませる。
というか、さっきから膨らませっぱなしだ。
バベルはニヤニヤとだらしなく笑って私の頬を撫でた。
「レティシアのそういうところ、すごく好き」
「なっ、」
「でもね、それよりもっと大好きなココアを飲んでる時のレティの笑顔が大好き」
………くぅ、バベルめ。
話を上手に運ぶんだから。
「レティはお子様の味覚でいてこそレティだよ」
「ばかにしないで。味は好まないけど、香りは好きなんだからね!」
「ダージリンの香り?」
「うん」
頷けば、驚いた顔をされる。
「え、そうなの?」
「ん。だってバベルの香りだから」
大して恥ずかしがることもなくさらりと出てきた言葉に、バベルは目を丸くした。
「うわー……レティって、やっぱいいよね。どっかの誰かに取られたりしなくて本当良かった」