瑠璃色の姫君



そしてまた、首元にキスが落とされる。


恥ずかしくてたまらなくて、体をねじるがどうも上手く抜け出せない。



「バベル、ちょっと待っ」


「待たない」


「ま、待ってくれないと嫌うよ!」


「それはヤダ」



後頭部を押さえていた手が離れ、また彼の即答を聞き、少しほっとした。


それもつかの間、顎を掴まれ彼の方へ吸い寄せられた。



「!?」


「こら。油断しちゃダメ」


「……っ」



声を上げることも出来ず、私の唇はいとも簡単に彼に捕まった。


長い口づけの後、火照った頬を目一杯膨らませた私は小さく「キス魔」と呟いた。


バベルは口の端を拭いながら、くすりと笑った。



「レティシア限定でね」


「もう、ばかっ…」


「とか言って本当は嬉しかったくせに。待ってたくせに」



にやにやにや。


もうヤダ、その笑みをやめてほしい。


むう、と唇を尖らす。


さっきからむっとしたり、ぷくっとしたり、可愛い顔ができなくてちょっと嫌になる。



「なんでもっと可愛く出来ないかなぁ…」


「何言ってんだよ、レティはもう世界一可愛いよ」


「え?」




< 231 / 248 >

この作品をシェア

pagetop