瑠璃色の姫君
だから私は心の痛みを隠してニコニコすることに慣れて、いつしか私はジル兄さんに〝すき〟を言わなくなった。
心の中に大切に秘めて、鍵をしておくようになった。
だって言っても受け取ってもらえないから。
そして成長するにつれ、立場的にそのようなことを簡単には言えないようになってしまった。
私はシュトラントで1番の大富豪の娘で、彼はその執事で。
彼に恋をすることはあってはならないこと。
気がついたのが遅かれ早かれ、もう仕方がないことだったとしか言えなかった。
あの幼い〝お嬢様〟な私は今を見るときっと頬を赤らめて満面の笑みで微笑むのかしら。
それとも、腰に手でも当てて呆れ顔で私を見るのでしょうか。
「ロゼア様!」
「ん……」
「ロゼア様、起きてください」
「……ジル兄さん」
「!?」
「………すき」
「…っ、ロゼア様」
大好きなジル兄さんの声が頭から降り注いで、私はうっすらと目を開けた。
「あ、ジル兄さんだー」
「え、あの、」
「ねージル兄さん、ぎゅってして」
「……っ」
「ジル兄さん…? ジル兄さ……、」
手を伸ばして彼にしがみついたところで、何かがおかしいことに気がついた。