瑠璃色の姫君
なんだか、ゴツゴツ?
私よりちょっと大きいジル兄さんの体ではない?
「ふあっ、ジル!?」
私よりもだいぶ大きな大人の男性の体になっている彼に気がついて慌ててジルから離れる。
そのせいで広げられていた腕が、寂しげに広がっていたが、それに気がつかず私はただただ慌てていた。
あ、っと、こういう時は深呼吸よね。
ドキドキと破裂しそうに高鳴る鼓動を落ち付けようと深呼吸をする。
「ロゼア様」
「なっ、何よ!」
「その、……ぎゅっ、は致さないのですか…?」
「はぁ!?」
りんごのように真っ赤な顔したジルの広げられたままの手を、パンと叩く私。
それでも負け時とその手は下ろされることはない。
「ジルったら、何言ってんの!」
「何って、ロゼア様が言ったのですよ?」
「えっ」
「〝ジル兄さん、ぎゅってして〟と」
……そうだったかしら。
そうだったような気がしないでもないけれど、だけど!
「む、無理!」
想像しただけで心臓が破裂しそうで、思わず拒絶の言葉を口にして足を踏み出した。
なのに。
「逃がしませんよ」
彼に背を向けて走り出そうとした私のお腹に、ぐるりと骨っぽい大きな手が回った。