瑠璃色の姫君
互いに真っ赤になった顔を見合わせると、笑いが込み上げてくる。
ひとしきり笑うと、ジルが思い出したように私の頬を摘んだ。
「ロゼア様」
「何よ」
「なぜ私からお逃げになるんです?」
「あー…」
法学の勉強を終えてすぐ、ジルが迎えにくることをわかっていたのに逃げ出したことを言っているのだろう。
「だって、貴方と顔を合わせると赤くなってしまって恥ずかしいんですもの」
フリュイにジルが好きなことを見破られて大声で言われてからは、恥ずかしくてジルを見るとすぐに顔が赤くなってしまう。
今まではどうにか抑えていたのに、どきどきがどうにも抑えが利かず止まらないのだ。
ジルはそれを聴いて、はぁ、とため息をついた。
む、何、何かご不満なの?
「……もう貴女は本当に」
「何よ」
「可愛いお人ですね」
「……なっ!」
「やはり私は、愛らしいロゼア様のことがとても好きです」
ボンッと顔が、文字通り真っ赤になる。
多分過去最高に真っ赤になって、慌てふためいて、口から出る言葉がどもってしまった。
「ば、ばっかじゃないの! そんな嘘つかなくてもいいのよ! ……っとその、ばかっ!」