瑠璃色の姫君




流した当の本人は、まっさらな空を見上げてふらふら歩いている。


その肩にいた鷹のルディが突如、空へ飛び上がり、フリュイは声を上げた。



「ルディ!」



バサバサと伸ばされた羽を動かして飛ぶ様は、なんだか貫禄がある。


見下ろされたルディの瞳と目が合った時、その瞳が鋭くなったことがわかった僕は、フリュイの腕を掴んだ。



「フリュイ、行くぞ」


「え、ルディは?」


「そこらへんをパトロールしてくれるって」


「パトロール?」


「ああ」



受け応えしながら、歩みを速める。



「ちょ、速いよバベル」


「名前呼ぶな。近くに城の人間がいるみたいなんだ」


「シュトラントの騎士?」


「そう、そういうやつら」



シュトラントの王族の特徴である金春色の髪が見えないように、黒いニット帽を片手でぐいぐい引っ張る。


フリュイは何故か深緑の服のポケットから大きめの黒の額縁眼鏡を取り出した。



「なんだそれ」


「眼鏡だけど?」


「なんで?」


「少し目が悪いんだ。ガレットに貰ったの」


「へえ」



知らなかった。


というか、僕はフリュイのことを全然知らないじゃないか。



「バベル、そんなことより逃げなきゃ」


「ああ」



ただ目的地が一緒なだけで勝手についてきたやつだから、別に知る必要なんてないんだけど。


知っておいた方が上手く事が進むこともあるかもしれない。



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