瑠璃色の姫君
「フリュイ。あとでお前のこと詳しく聞かせて」
早歩きしながら、フリュイにそう伝えれば
「は? それ個人情報流出。やだよ」
なんて怪訝な顔と辛辣な言葉が返ってきた。
なんでこっちの意図を理解してくれない!
なんでそんなに否定的なんだ!
なんで僕、王子なのにこんなにこのガキからの扱いが酷いんだ!
歯をギリギリ噛み締めていたら、空を飛ぶルディが、一つ鳴いた。
「ほーらお兄さん。程々に離れてるけど後ろから足音聞こえてきたよ。早く早く」
フリュイの茶化すような言い方にムっとしながらも、急かされた僕は速度を少し上げた。
ーーー
「はあ、っ、きっついなー」
膝に手をついて荒い息を整える。
最終的には、一生懸命走ってしまったのだ。
今更ながら、よく考えれば帽子を被って服を変えているのだから、逃げた方が不自然だった気がするけれど。
兎にも角にも、疲れた。
キツそうにする僕を見下げて腰に手をつくフリュイは、馬鹿にしたように笑った。
「くく、おじいさんみたい。歳いくつ?」
「じゅうっ、はち」
「えー18でその体力? ダメダメだね」
くくく、と馬鹿にしてくるフリュイが心底ムカつく。
本当に生意気だな。
親の顔が見てみたいわ。
さぞ生意気な親だろうよ。
例えば、街を荒らすのが趣味な奴とか。