瑠璃色の姫君



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健やかな朝。


朝陽に目を細めながら、僕はどこまでも繋がる空を見つめた。


緑がかった青緑といわれる、金春色(こんぱるいろ)の自分の髪が光で透けて見える。


ふと頬を触ると、目の端には涙の跡が薄っすら残っていた。



「バベルに見つけてほしいの、か……」



淡い記憶の夢見で、僕はある決心した。


起きたばかりの頬をペチンと叩いて顔を洗う。


涙の跡は、微妙にわからなくなった。


いそいそと鞄に必要な荷物を入れ込む。


クローゼットの中から、なるべく目立たなさそうな色の服を探す。


装飾がキラキラしていたりするけれど、クローゼットの中から一番地味な服を引っ張り出して着た。


鞄と地図と使い慣れた愛用の剣を手に、僕は音をさせないように慎重に窓を開けて、サンに足をかけたところで手を止めた。



「あ、忘れ物」



部屋の中の鏡の前まで戻り、取ってきたのは彼女の瑠璃色のビーズが並ぶ子供っぽい指輪。


指に通すと、ビーズが瞬きをしたようにキラリと光が動いた。



「よし、オッケー」



もう一度サンに足をかけ、周りに気付かれないように、そこから飛び降りて。


花園を抜けたところにある秘密の出入り口から、城を抜け出した。






レティシア。


お望み通り、僕が君を


絶対に見つけるよ。






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