瑠璃色の姫君
「ちなみに、家はちゃんとありますから」
さらっと言われ、穴があったら入りたい衝動に駆られる。
なんとも失礼なことを考えてしまった。
それにしても、僕の考えていることなんでもわかるんだな。
凄いなぁ、フリュイは。
「だって全部口から出てるからさ」
何が?
「そりゃバベルの考えていることが、だよ」
「何っ!?」
「気付いてなかったの? 馬鹿なの?」
「………」
これは気付いてなかった。
馬鹿と言われても反論出来ない。
しゅん、と項垂れていると、フリュイが僕の膝を軽く叩いた。
「やばい。こっち来る……」
喋ったり動いたりしないでね、と口パクで伝えられて、静かに頷く。
だんだんと近付いてきて、その2人の顔が明らかになる。
……?
どこかで見たような気がする?
どこで、だったかな。
………思い出せない。
気になって仕方なくなったので、意地でも思い出そうと、うぬぬ、とこめかみに中指を立てて頭を整理しようとしたら、
「ここでお昼にしよう」
「ああ」
騎士の男2人が、近くの木に馬が逃げないよう紐をくくりつけて、僕らが隠れる高く生い茂る草むらを挟んで向こうに座り込んだ。