瑠璃色の姫君
「……あ」
騎士の男との間から、一瞬見えたレティシアと、目が合った。
その見覚えのあるレティシアの瞳は、大きく見開かれて、動いた騎士の体にすぐに隠された。
なんで驚いているんだ?
あ、僕が城を抜け出しているからか。
なるほど、と納得していると、「あ!」と大声が聞こえた。
「なんです、レティシア様」
「あそこにいるのって、リスかしら?」
「リス?」
レティシアが指をさしたのだろう、一同が揃ってリスがいるらしい方に顔を向ける。
その時、僕の視界の端に俊敏に、だけどふわりと動いた瑠璃色が見えたような気がした。
レティシアが指した方を見ていた騎士達は、しばらくして揃って首を傾げた。
「レティシア様。リスなんていません、が……!」
リスのいるらしい方からレティシアの方へ振り返った1人の騎士は、言葉を詰まらせて。
それから「レティシア様!」と焦り声を上げた。
状況的に、どうやらレティシアがいなくなったらしい。
じゃあ。
もしかしたら、あの瑠璃色は……。