瑠璃色の姫君
「フリュイ、行くぞ!」
「え、行くって?」
キョトンとして僕の言いたいことを理解していないフリュイ。
「レティシアを追うぞ!」
そう言えば、見開かれるフリュイの目。
「王女の逃げた方向、わかるの?」
「わかる」
「本当に?」
「間違いない、こっちだ」
レティシアの瑠璃色が動いた方を指差し走り出す。
僕の後を追って走ってきたフリュイは、その方向を見て目を細めた。
「おお、ほんとだ。よく見てたね」
「だいぶ遠くにいるけど、追いつけない距離じゃない」
「だね……あ」
集まり、作戦を立てていたのだろう騎士たちが馬を出して四方八方を探し始めた。
僕達の走る道のすぐ近くを馬が通る。
「急がなきゃいけないみたいですな、バベル王子」
「そうだな」
少しスピードを上げて走る僕は背後から「やばいなぁ」というフリュイの小声をキャッチした。
今更ながら気付いたことだが、フリュイにとっては今こうしてレティシアを追っているのは、騎士に見つかるかもしれないリスクが伴う。