瑠璃色の姫君
「全部話せば、このネズミもお前も開放してやるから」
試しに、少し声音を優しげにしてみる。
これで話してくれればいいんだけど。
元よりこの金髪とネズミを傷つけるつもりはないのだ。
傷つける勇気でさえない。
なるべく穏便に済ませたい。
もし僕が王子だとバレた時大変なことになる。
それは避けたいのだ。
「……話します。だからその子を殺さないでください」
よし。
フリュイに目配せすると、フリュイはネズミに向けていた刃物を下げた。
ネズミはすぐさま金髪に寄って肩にちょこんと乗っかった。
肩に乗ったネズミが頰ずりをしてきて、金髪はホッと一息ついた。
それから、金髪の手を縛る紐を解いてやった。
「跡がついてしまったな、すまない」
「いえ、このくらいの痛みは覚悟してましたから」
紐の跡がついた手首を見ながら、金髪が苦笑した。
そりゃあ、レティシアを名乗るのだから何か痛みが伴うのは想像がついただろう。
でもそれをわかった上で名乗ったのは、一体何故なのだろう。
いくら頭を回しても、検討もつかない。
「では、話します」
ちらりとフリュイを見て、金髪が話し始めた。