瑠璃色の姫君




「私、クロエといいます。レティシア様に仕えている侍女です」



レティシアの侍女?


なんでそんな者がレティシアのふりを?



「実はレティシア様から、“私のふりをしてほしい” と頼まれまして」


「頼まれた?」


「ええ。レティシア様が行方不明なのはご存知ですよね、バベル様」


「ああ」


「レティシア様が行方不明になったのには、」


「ちょ、ちょっと待ってくれ」



話を続けようとするクロエの前に掌を出して制した。



「なんでしょう?」



不思議そうに僕を見るクロエに尋ねる。



「なぜ僕がバベルだと知っているんだ?」



怪訝な顔の僕に、クロエは平然として答えた。



「あぁ、髪が見えているからです。バベル様のその明るい緑がかった青緑の金春色の髪が見えているので、バベル様だとお見受けしました」


「えっ」



慌てて帽子を被りなおす僕。


そうか、それならば説明がつく。


レティシアの侍女となれば、一般人よりも僕の髪色が金春色であることはよく知っているだろう。



「バベルおーじ、しっかりしてよー」



フリュイから肘を突かれて、くすくすと笑われる。


そうだ、しっかりしなきゃ。




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