瑠璃色の姫君
「それで、何故レティシアからそんな頼まれ事を?」
「詳しくはお聞きしていないのですが、レティシア様が行方不明になられたのは、ある目的があるからなのだそうです」
「目的?」
眉を寄せて、ずい、とクロエに近づく。
「目的については、私からは答えられません」
すみません、と頭を下げられて慌ててその頭を上げさせた。
「私の目的については、お話することが出来ますので、どうか聞いてください」
頷いた僕らを確認して、クロエは話し始めた。
「私がレティシア様から頼まれたことは、レティシア様になりすましてある場所へ行くことでした」
「ある場所?」
「カフェ・レヴというところです」
「!」
カフェ・レヴは、これから僕らが行こうとしていたカフェだ。
「なぜそこへ?」
「バベル様が来るだろうから、とレティシア様は仰っていました」
「なんで……」
なんでわかったんだ。
僕がそこに行こうとしていることを。
「カフェ・レヴはレティシア様にとって、バベル様との思い出の場所だから、そこにバベル様が来るだろうとお思いになられた様です」
「!」
驚かされてばかりだ。
カフェ・レヴは、僕とレティシアが幼い頃にお茶会をする際によく用いた店だ。
店の雰囲気やそこで出される紅茶が2人の好みにマッチしていて、そこは僕たちの特別な場所だった。
覚えて、いたんだな。