瑠璃色の姫君
*初恋の思い出と
***
カフェ・レヴは、我が国シュトラントとレティシアの母国オリーヴェンのちょうど真ん中にある。
故にちょっとばっかり遠いのである。
「ねーまだ着かないのー」
だるそうにするフリュイは、肩に乗る鷹のルディの喉をくすぐった。
こらこら猫にするのならわかるけど、鷹にするのはどうなの、君。
ルディが動きを止めたことで焦った僕だったけれど、どうやらフリュイならいいや、と考えたらしい。
嫌がっているかと思いきや、むしろ目の細めて和やかにしていらっしゃった。
ルディめ、驚かせるなよ。
「ねーバベルーまだなのー?」
フリュイがここまで言うのも無理はないのだ。
実を言うと、もう5日程カフェ・レヴを目指して歩いているのだから。
「途中で間違ったんじゃないのー?」
「いや、そんなことは」
「だってバベルって王子様じゃん。移動手段はいつも馬車でしょ。外とか見ないでしょ」
ゔっ。痛いところを突くなぁ。
フリュイのやつ、頭いいな。
やっぱりどこかの貴族の子供なのか?
「その地図もさぁ、ちゃんと読めるの?」
僕の手元に広げてある地図をフリュイがひったくる。
「失礼な! 地図の読み方はしっかり学習済みだ!」
そうなのだ、学習済みなのだ。
だから間違っているはずはないのだ。
……多分。
「ふーん?」
品定めするかのような瞳でフリュイから見られる。
その目、止めろぅ!