瑠璃色の姫君
「ねえ!」
「おわっ」
しばらく前をずんずん歩いて行って、ツンとしていたフリュイが、突然僕の方を向いて腰が引けそうになった。
「バベルの初恋はいつ?」
「へ、初恋?」
思いもよらない質問に唖然としながら、答えを頭から引っ張り出す。
いつだったかな。
レティシアと初めて会ったのは。
僕が覚えている限りの一番初めのウチの国でのホームパーティの時だから、確か。
「5歳、かな」
「えっ、早すぎない!?」
「そうかな。一目惚れだったんだ」
「……あ、ああそうなんだ」
目を丸くしたフリュイは慌てたようにそう返した。
「ちなみに、その相手聞きたい?」
ニヤリと笑ってフリュイに近寄る僕。
聞きたくないと言われても、言うつもりなんだけど。
せっかくだから彼女との出会いを語りたいじゃん。
「……興味ない。聞かない」
「はい、いいよー。教えてあげよう!僕の初恋は」
「聞きたくない! 聞こえない!」
「レティシアでしたー」
「聞こえなーい……ん? 今、誰って?」
聞こえないと連呼して耳を塞いでいたくせに、気になるらしい。