瑠璃色の姫君




「レティシアは、一言で言うと天真爛漫なんだ」


「てんしんらんまん?」


「無邪気、ってこと」


「へぇ」



さほど反応を示さないフリュイ。


まあまだ恋話じゃないもんな。


じゃあ、どうしようかな。


レティシアに一目惚れした時の話をしようかな。



「初めて会ったのは、シュトラントでのホームパーティがあった日のルリマツリの花園だった」


「ルリマツリって、瑠璃色の5枚の花びらのお花だよね?」


「よく知ってるな」


「まあね」



意外だと思ったが、そうだった、貴族の子供かもしれないのだった。


知っててもおかしくない。



「パーティに出るのは初めてだったから少し息苦しくてさ、抜け出して花園に行ったんだ」


「わわっ、この時から抜け出してたの? 問題児だって言われなかったの?」


「そこは想像におまかせする」


「うん、わかった。図星だね」


「……」



いちいち突っ込んでくるなよ。


話が進まないよ。


図星だよ!



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