瑠璃色の姫君
「さてとっ、兄ちゃん久しぶりじゃん? どうしたの」
少し手伝い、薪割りを終わらせた僕らは、丸太の椅子に座った。
「レティシア探しの旅してんだ」
「あーレティの姉ちゃん行方不明なんだよね」
「ああ」
「どこにいんだろね」
首を傾げたゼノを見て、ここにはレティシアが来てないのだと思った。
ちょっと期待したんだけどなぁ。
残念。
聞く暇を与えてもらえなかったけれど、あとでリーシャにも聞いてみよう。
「あーレティ? 来たよー」なんてサラッと言いそうだから、期待しても良さそう、かな。
「ところでお前、今リーシャと2人きりで同居してんだって?」
実は気になってたんだ。
「いつも仲悪くて喧嘩ばかりしていたのに同居なんて、どういうことなんだ」
「べ、別にどうだって良くない?」
「良くない。怪しいぞ、隠し事だな」
「気にすることじゃないから、気にしないで!」
「いーや、聞かせてもらう」
逃げ出そうとするゼノの脇腹に手を滑り込ませ、コショコショとくすぐる。
「や、やめっ、あはっはははっ」
「白状しろ!」
体をうねうねさせながら笑うゼノ。
「ふふ、うぅ、わ、わかった話すから!」
「最初からそう言えばこうはならなかったのに、馬鹿だな」
「ううううるさいな!」
だいぶ頑張ったと思うけれど1分足らずで観念したので、ゼノから手を離して憎まれ口を叩いてみた。