瑠璃色の姫君
第3章
*羞恥心
***
「じゃあ、行ってきます」
眩しい太陽の日差しを浴びながら、復活したフリュイと僕はカフェ・レヴから外へ出た。
帽子を引っ張って、金春色の髪の毛を隠す。
フリュイはと言うと、黒ぶちの眼鏡をかけてゼノにニヤリと自慢げにしている。
似合うだろう、とか言って。
「フリュイ、ちょっと」
そんなフリュイをリーシャは手招きして、耳元でコソコソと何か内緒話をしている。
その様子を見ていると、ゼノがひょこひょこと僕に近づいて来た。
「兄ちゃん、またね」
「ああ。色々ありがとな。次に会う時までにモノにしとけよ」
「へっ?」
「リーシャのこと。実はもう結構いい感じじゃないの?」
「い、いや、そんなことはない、と思う」
そんなことあると僕は思う。
だって、怒ったリーシャを追いかけてなだめてくれたのは彼だから。
ゼノのおかげで、リーシャは僕を許してくれたのだと言えるのだから。
リーシャは、ゼノに心を許しているのだと感じたから。
「きっと上手くいく。応援してる」
トン、とゼノの肩を軽く叩く。
「兄ちゃんと姉ちゃんも、きっと上手くいくよ。早くレティの姉ちゃん見つけてあげて」
力強く、頷く。
そうだ、挙動不審になりかけている場合ではないのだ。
早くレティシアを見つけなくてはならないのだから。
それが、僕が旅に出た目的なのだから。
「バベル!」
振り向けば、リーシャが僕をむすっとした顔で見ていた。