瑠璃色の姫君
「いーきーたーいー」
ここぞとばかりに子供らしく駄々をこねるフリュイ。
駄々こねるな、と言いたかったんだけれど。
なんだか僕もすごく行きたくなってきた。
「んーじゃあ行くか」
僕のこの金春色の髪色や、フリュイの桜色の瞳が見られて目をつけられたら大変なことになりそうだけれど。
「わーい!」
レティシアとの思い出の場であるのだから、何か手がかりが掴めるかもしれない。
うむ、決めた。
行くまでが不安だけど行っちゃおう。
少し前までオリーヴェンの観光名所ど言われていた、プラネタリウムに。
「るんるんるん、プッラネタリウムー!」
フリュイは、ルディを肩に乗ってたままはしゃいでぴょんぴょん跳ねる。
そうなると自然とルディの体も上下に動くから、気持ちが悪くなりそうだと思うのだけれど。
どうやらルディはその肩から退く気はないらしい。
相当フリュイの肩が気に入っているみたいだ。
そんなルディの喉を猫にするようにくすぐるフリュイ。
それ鷹にとってはどうなんだ?
本当に気持ちいいのか?
不安気に1人と一羽を見ていれば、桜色の瞳がこちらを向いた。
「ねーまた歩いていくの?」
「いや、お前病み上がりだし馬車でも借りようかなと思ってるんだけど」
「わおっ、馬車!」
予想以上にいい反応をした彼を覗き込んで「初めて?」と尋ねる。
「ううん。久しぶりなんだ!」
そうかそうか。
貴族のお家柄かもしれないのだから、既に乗ったことがあるのは有り得る話だ。
久しぶりでそんなに喜ぶとは、大層馬車が好きなのだろう。
わからないでもない。
僕だって馬車から見る風景は流れるようですごく好きだ。
「でもさ、お金だいじょぶ?」
「ああ、平気だ」
実は、ごっそり城から金と金目の物を持ち出しているのだ。
「良かったー!」
「ん」
「あ、馬車なら悪い人に絡まれる可能性低くなるかな」
「あーかもしれないな」
逆に見るからに金持ちだから、と襲ってくる輩だって居そうだけれど。