チェロ弾きの上司。

席に戻り、後ろにあるキャビネットを眺める。

ラベリングしたファイルたち。
整理整頓した備品たち。
2年前に来た頃は、お世辞にもキレイとは言えなかったなぁ。

不意に、泣きたくなった。

「望月さん? どうしたの?」
佐倉さんが声をかけてくれた。

「いえ、もう少し整理したいな、と思って」

「充分キレイになってるわよ?」

ありがとうございます。
言葉にすると涙も一緒にこぼれそうで、あたしはただ微笑むことしかできなかった。


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