チェロ弾きの上司。
ぼろぼろのまま終わると、三神さんが早瀬先生に言った。
「申し訳ありません、次までに修正しておきます」
謝らなきゃならないのは下手なあたしなのに。
練習終了後、楽器を片付けていると、三神さんがやってきた。
あー、怒られるのかな。
先に謝ろう。
「今日は、申し訳ありませんでした……。次までにはさらってきます……」
「望月さんが弾けてない影響、大きいよ。どうりでおかしいと思った」
「すみません……」
「体調悪い? 仕事、忙しいの? 何かあった?」
あたしは黙って首を横に振った。
「……言い訳はしません……」
「この前の本番でいったん調子をピークに持っていったから、その後下がるのは当たり前。調子が悪くても怖がらないで、しばらく我慢。必ず戻るから。しかも、前より上手くなってるよ、きっと」
……優しく微笑む三神さん。
「わかってると思うけど、調子が悪い時は悪い時なりに、せめてスケールだけは弾いておくこと。心は閉じてていいから、身体の感覚だけは失わないように」
「……はい」
三神さんは、つらいことをたくさん乗り越えてきた人特有の力強さと説得力をもって、あたしを励ましてくれた。
本当に、すごい人だ。
間違えたのは、真木さんとあたしを組ませたことだけ。
「申し訳ありません、次までに修正しておきます」
謝らなきゃならないのは下手なあたしなのに。
練習終了後、楽器を片付けていると、三神さんがやってきた。
あー、怒られるのかな。
先に謝ろう。
「今日は、申し訳ありませんでした……。次までにはさらってきます……」
「望月さんが弾けてない影響、大きいよ。どうりでおかしいと思った」
「すみません……」
「体調悪い? 仕事、忙しいの? 何かあった?」
あたしは黙って首を横に振った。
「……言い訳はしません……」
「この前の本番でいったん調子をピークに持っていったから、その後下がるのは当たり前。調子が悪くても怖がらないで、しばらく我慢。必ず戻るから。しかも、前より上手くなってるよ、きっと」
……優しく微笑む三神さん。
「わかってると思うけど、調子が悪い時は悪い時なりに、せめてスケールだけは弾いておくこと。心は閉じてていいから、身体の感覚だけは失わないように」
「……はい」
三神さんは、つらいことをたくさん乗り越えてきた人特有の力強さと説得力をもって、あたしを励ましてくれた。
本当に、すごい人だ。
間違えたのは、真木さんとあたしを組ませたことだけ。