チェロ弾きの上司。
「すごいです! 素敵です! さすが真木さんです!」
興奮して後ろを振り返る。
てっきり、「だろ?」とかドヤ顔してるのかと思いきや。
恥ずかしそうにはにかんでる……。
「そこまでほめるか?」
「だって、おひとりで作られたんですよね?」
デザインも画像も文章も全部。
「気兼ねなく好きなようにな」
肩をすくめる真木さん。
いつもはスタッフをまとめる立場だもんね。気苦労も多いはず。
「これでお客さんも入団してくれる人も増えそうですね!」
「じゃ、ご褒美くれるか?」
う。無茶な要求される予感。
「……ほんとにお客さん増えたら考えます……」
「よし。その約束ちゃんと覚えとけよ?」
何やら自信ありげ。
それでこそ彼らしいけど。
「言っとくが、目標はホール満席だからな」
あ、これはやばい。
真木さん、仕事で社長に指示された目標は必ず達成するんだもの。
今回も持てるノウハウすべてつぎ込んで達成させるんじゃなかろうか……。
「満席のホールであいつに弾かせてやりたい。オレにできるのは、これくらいだから」
をを、……男の友情、熱いです……!