チェロ弾きの上司。
「これでひと段落。次の週末からはお前と過ごせる」
……ええと、それは……。
真木さんが、以前、付き合ったらしたいって言ってたことをする、ってことだよね……?
うわぁ、想像して恥ずかしくなってしまった! 無理っ!
あたしは慌てて立ち上がった。
「ごはんっ、ごはん作りますっ!」
本日の献立は、豚しゃぶサラダにひじきの煮物、ほうれん草のお味噌汁。デザートにグレープフルーツ。
だってあっさりしたものが食べたかったのよ。
食後、真木さんにはコーヒーを淹れる。真木さんがコーヒーを飲みながらタブレットを眺めてる間に、ささっと後片付けをする。
あたしが片付けを終え、自分のハーブティーを淹れていると、視線を感じた。
真木さんがテーブルに頬杖をつき、こちらを見てる。
相変わらず綺麗なお顔と瞳に、ドキドキする……。
「……どうしたんですか? 何か……?」
「お前って健全だなーって」
「はっ?」
褒められてないよね。
色気がないっていうか、そんなニュアンスだよね。
そりゃそうよ。その……処女だもん。
「まあ、こっちきてお茶でも飲めよ」
はい。では。
ローテーブルのはす向かいに座る。
ふうふうしてお茶を飲む。