チェロ弾きの上司。
どうしようどうしよう。

気持ちよくて、
このままされるがままになっちゃいたいけど。

正直あたしも、そういうこと、したくないわけじゃない。
今だってすっごく気持ちいいし。
本能がもっと気持ちいいことを求めてるのは自覚してる。
いつかは、とは思う。
真木さんがいい、とも思う。

だけど……


でも。
だめなのよ!

あたしは意志の力と腕の力を振り絞り、真木さんの身体を押し返した。

やっと自由になった口で叫ぶ。

「ごめんなさいっ、今日はダメな日なんです!」

真木さんの動きが止まった。
通じたらしい。

「……ああ、ごめん」

真木さんのテンションの下がり具合というか、がっかり感を感じて、ほんとに申し訳なくなる。

「ごめんなさい……」

真木さんはあたしの頭を撫でてくれた。

「そんな顔すんなよ。オレこそ悪かった。身体つらい中メシ作らせたり、がっついたりして」

ふぇ……?

真木さんが、そんな優しいこと言ってくれるなんて……。

自分の耳が信じられず、思わず真木さんの顔をガン見してしまう。
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