チェロ弾きの上司。
お二人は仲良く席に着いた。
ああ、いいなぁ。
お互いがお互いを好きなのがわかる。

ほえええー、三神さん、あんなに優しい表情するんだぁ……。

「雅、見過ぎ」

彼女さんも、恋してるオーラ満開の笑顔。
ほわー。素敵だなぁ……。

「雅、見過ぎだっつーの」

頭を軽くぺしっとされた。

「へっ? あたしですか?」
「他に誰がいるんだよ」
「だって、……あれ、名前……?」

さては、三神さんが彼女さんのこと、名前で呼んでたからだな?

「お前もそろそろ名前で呼べよ。その代わり会社では絶対呼ぶなよ」

呼べとか呼ぶなとか、ほんと勝手なんだから。

でも、名前でって……。

……響也、さん?

ムリ!
ムリムリムリ!
悶えて転げまわりたいくらいに恥ずかしいです!

ひとり心の中で悶えていると、三神さんたちの会話が耳に入ってきた。

「明るいところで見ると、首についちゃった痕、結構目立つね」
三神さんの声。
「ついちゃったんじゃなくて、つけたんでしょ。もう、見えるところに痕つけないでって言ったじゃない」
「んー、そこはほら、理性吹っ飛んでたから、勘弁して?」
「確信犯。ほんと腹黒い」
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